夏は、「蓼の葉(たでのは)のおみそ汁」

  • 暑い日が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。暑気(あつけ)あたりといって、冷たい飲み物ばかり飲んで唾液が出にくくなることによる食欲不振、栄養不足による体のだるさ等の症状が出やすくなったら、熱中症への赤色信号ですから注意が必要です。暑さに負けない体づくりには毎日のバランスのとれた食事が大切です。

    私はこの時期ならではのみそ汁を楽しんで夏を元気に過ごしています。庭に青々と茂る植物の葉、それは“蓼の葉(たでのは)”です。新芽は刺身のツマや椀物の吸い口として、成長した葉はご飯と共にすり鉢ですり、酢で合わせた“たで酢”を鮎の塩焼きに添えたりして使う食の名脇役です。
    「蓼食う虫も好きずき」ということわざがあり、辛い蓼を好んで食べる虫があるように、人の好みは様々で一概には言えないというたとえです。蓼の葉や茎には特有の香りと辛味を持っていて、殺菌・抗菌作用があり、民間薬として虫さされの治療や利尿剤としても用いられていました。

    私の家では代々蓼の葉を擂ってみそ汁仕立てにし、暑気に効くといいながらこの時期に必ず蓼汁を飲んだりご飯にかけて食べていました。ご飯とみそ汁は非常に相性の良い組み合わせです。ご飯に無い栄養が味噌に含まれていますし、味噌やだしの香りで唾液などの消化液の分泌が盛んになり食欲が増します。
    また味噌は発酵食品であるため乳酸菌が豊富に含まれています。乳酸菌とは腸内の環境を整え、免疫力を高める働きをします。ストレスの多い生活が続いたり、年齢が高くなるにつれて腸内の悪玉菌が増え、便秘や肌荒れになりやすくなります。また、食生活の欧米化が大腸がんの発症率を高めているとの指摘もあるので、今一度和食の大切さを見直していただきたいと思います。

    善玉菌の代表である乳酸菌は食物繊維やオリゴ糖を餌にして増えるため、やはり一汁三菜の食事スタイルは腸内を元気にする食べ方だったのですね。