芝居「オミソ」で感じた“ドラマティック”な味噌

芝居「オミソ」で感じた“ドラマティック”な味噌

ハリウッド映画にも出演経験がある、女優・岩瀬晶子さんが脚本・主演を務めた芝居「オミソ」(劇団「日穏-bion-」)が上演され、大好評で幕を閉じました(東京11公演・富山3公演)。岩瀬さんは、劇団「日穏-bion-」を主宰し、俳優、脚本家として国内外の舞台に携わるほか、日英アナウンサー「藤本ケイ」として、NHKをはじめ、テレビ、ラジオ出演など多方面で活躍されています。

劇団名「日穏-bion-」の「bio」は「biology(生物学)」や「biography(伝記)」など、“生命”や“生活”という意味が込められています。何気ない日常の中に、人を笑わせ、涙させるドラマがたくさんあり、舞台を見てくれた人が、自分の生命の尊さを感じてもらえたら…。そんな思いで作品づくりに打ち込んでいるそうです。

味噌も麹菌や酵母、乳酸菌などたくさんの微生物が醸し出す生命力あふれる食べ物。そして長い間、日本人の生活に寄り添ってきました。岩瀬さんが大切にしている世界観“生命”や“生活”と共通点が多く、ご縁を感じずにはいられません。

芝居「オミソ」は、福島県の味噌屋を舞台に繰り広げられる、ある家族の物語。時は平成元年、バブル真っただ中で、若者は恋に遊びに大忙し。そんな浮かれた空気はどこ吹く風、何十年も変わらぬ佇まいを見せる味噌屋。伝統製法を受け継ぎ、看板を守ってきた店主が亡くなり、店は存続の危機に陥ります。そんなある日、若い頃に家を出た次男坊が帰ってきますが、岩瀬さん演じる亡き長男の嫁には、複雑な思いが…。

後継者問題など、社会的な問題も背景に盛り込みつつも、笑いあり涙ありの心あたたまる作品で、観劇後は口々に「味噌汁が飲みたくなった」と観客たち。また、味噌の種類や効用など、味噌の情報が随所に盛り込まれ、「味噌のことも学べて勉強になった」という声もありました。

後日DVDが発売されますので、公演を見逃してしまった方は、ぜひご覧ください。詳しくは、劇団「日穏-bion-」の公式HPを参照(http://bion.jp/)。

8月1日の公演後のアフターイベントには、岩瀬さんとともに藤本智子が登壇し、作品の誕生秘話や味噌の魅力について熱く語りました。

「思い出といえば、やはり“母の味”。味噌にこだわっていた母の味噌汁は、赤味噌と白味噌の合わせ味噌でした。すでに母は他界しておりますが、その味に近い味噌を探しては、いろいろ試しています。味噌汁を思うと、祖父母も入れて8人という大家族で食卓を囲んでいた風景が脳裏に蘇ります。たとえるなら味噌は“心のふるさと”で、人々の“ドラマ”を生み出すもの。舞台を通して、計り知れない味噌のパワーを感じていただけたようで光栄です」と岩瀬さん。

日本人は古くから特別な存在として味噌を扱ってきましたが、もはや食べ物以上に、とてつもなくスゴイ価値があると思わずにはいられません。