空海(弘法大師)と味噌

  • 広島県といえば宮島や広島平和記念公園が有名ですが、先日仕事で広島を訪問し、今回新たに素敵な場所に巡り合いました。
    それは弥山(みせん)という山です。

    弥山とは、日本の歴史の中でも有名なお坊さんの一人「空海(弘法大師)」が開山し、修験道場となったと伝えられています。
    空海は平安時代の初めに活躍し、新しい仏教を学ぶために唐(現在の中国)に渡り、帰国後は“真言宗”という宗派を開き、全国各地を行脚しました。
    また、この真言宗を学ぶための場所として、和歌山県にある高野山に金剛峯寺というお寺も建てています。

    空海の足跡はたくさんありますが、その地域に暮らす人々を救うためのさまざまな教えが各地残っています。
    例えば疫病に苦しむ村人を救うため柚子味噌や薬味味噌の製法を教えたり、金山寺味噌やお灸など伝えました(諸説あり)。
    お灸にはたくさんの方法・種類がありますが、その中でも興味深いのは体を芯から温める“ニラ味噌灸”で、家庭でも気軽に試すことができます。

    弥山という山は、空海が唐から帰国し霊地を探し求めて辿り着いた地ですが、お堂を建て当時修行に使われた火は1200年以上経った今も燃え続けています。
    また、この火で沸かした霊水は万病に効くといわれており、平和記念公園の“平和の灯火”の元火にもなっています。
    人々の為に地道に活動し、数々の名跡を残した空海。今も多くの人々の信仰を集めており、語り継がれた味噌の製法や活用法は、今後も大切に「食文化」として繋げなくてはなりません。
    「食文化」は国の推進するものの一つとして2017年6月16日に衆参両議員立法で可決し法律に明記され正式に認められました。
    特に家庭での食育・食文化の伝承が昨今急務となっています。

    今回、広島への訪問をとおし、弥山の灯火が今も大切に守り継がれていることに感銘したと同時に、私も微力ながら食の分野でできる限り人々のお役に立てるよう、更に精進してまいりたいと心から思う旅となりました。

    さて、ここで秋ならではの味噌料理「秋鮭の味噌焼き」をご紹介します。
    まずお好みの味噌、みりん、酒でのばした味噌床に魚の切り身を一晩漬け込みます。
    翌日グリルで焼き、柚子やすだちを添えます。味噌は魚の臭みを取り、身をふっくらとさせ、柑橘果汁との相性も抜群で、すりおろした皮を散らすと格別です。
    ぜひお試しください。